一話

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身体が震えた。 それこそ単語しか聞こえなかったけど、それが意味するものははっきりと分かった。 今日の朝、父へ届いた手紙。それは [強制参戦通告書] つまり[赤紙] 父は、近い内に戦地へ出向くことになるのだ。 特攻隊として 特攻隊というのは、世界第二次大戦でも存在した、と日本史で習った。 行きの燃料しか積まず、相手の機に突っ込む。無論、自分は乗ったまま。 生きて帰れる確率など、あるはずもない。 その特攻隊に、父は任命されてしまった。 父は 父は 「死んで、しまう」 漠然とした、それでも疑いようのない事実。 「っく…う、うわあぁっ…」 知ったところで何ができるはずもなく。 私はただ、赤子のように涙を流すことしかできなかった。  
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