3人が本棚に入れています
本棚に追加
「は、はぁぁぁぁぁ!!?」
俺の名前は、篠崎 夏樹(シノザキ ナツメ)。高校2年生。
背が高く体付きがいいから、新入生の頃色んな運動部から勧誘された。
けれど、俺。球技がダメで、走るのも苦手。先輩や教師、同級生にまでも呆れるほどに。
けど、唯一水泳だけはやっていたから、水泳部に入部した。
そんな俺が、水泳の練習で疲れて帰ってきて、家の玄関を開けた時、上から姉の叫び声が家中に響き渡った。
「ど、どうしたんだいったい!?」
俺は靴を脱ぎ散らかし、学生鞄と大きめのショルダーバックを玄関に投げ捨て、階段を駆け登る。
一番奥の部屋のドアを激しく叩いた。
「姉ちゃん!何かあったのか!?」
「うげっ!夏樹、帰ってきていたのか!?な、何でもないから!
あんたは下に行って、母さんが夜勤前に作っていった晩御飯でも食べときなさい!」
ガチャリと、部屋の鍵が閉まる音。
「いやいや、気になるっつうの!姉ちゃんがあんな大声出したの、聞いたことねぇし」
「いいから、さっさと下に降りなさいって!」
「まぁまぁ、良いじゃないか。君の家族なんだろう?
いずれ知られてることになるだろうし、今知られても問題はないだろう?」
姉の部屋から、もう一人知らない声がした。男とも、女ともとれない、幼げな声が。
「大問題よ!と言うか、あんたは黙っていて!ややこしくなるから!」
「でもね、君が望もうと望まざろうとも、もう開けちゃったんだ。てへっ」
鍵が開き、勝手に扉が奥へと開いていく。そこにいたのは、一匹の白い烏。
そして、俺より数センチ高い、ロングの金髪、蒼眼。
ふわふわのついたピンク膝丈スカートに、へそを出した大きな胸を強調させる、ピンクのノースリーブの服を着た。
もう、立派な大学生の実の姉の春華が、変なコスプレをしてつっ立っていた。
え?なに、これ?
「きぃさまぁぁぁ、みぃいたぁなぁ!!!」
ぐるりと首だけを動かして俺を睨み付ける。
その顔は阿修羅のごとく、目が憤怒の炎で赤く、さらに金色の髪の毛が逆立っていた。
ズーン、ズーンと一歩一歩俺に近づいてくる。俺は、蛇に睨まれた蛙。指一本動かせやしない。
最初のコメントを投稿しよう!