第25章

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黒板に書かれた今後の予定を見ていると、手荒い祝福で髪の毛がもさもさになっている雅也の後頭部が視界に入る。 さっき写メで見たショートカットの彼女はなかなか可愛い子だった。 その彼女の横で雅也が好き好きオーラ全開で幸せそうに笑っている、いかにもラブラブな写メで……。 ………。 みんなの前で幸せそうに彼女の話ができる雅也を、正直、羨ましいと思った。 俺も前は好きな子とか彼女が出来たら、隠さずに仲いい友達には話してたけど。 今は……誰にも言ってない。 ひとりで抱えてるのがキツくて、誰かに話を聞いてもらいたいと思うこともあるけど、みんなから応援してもらえるような片想いじゃないってことは、自分でよくわかってる。 わかってるから、話した相手に改めてこの想いを否定されたくないんだ。 反対されたり否定されたところで、俺の気持ちは変わらないから。 由梨さん、どうしてるかな……。 由梨さんの泣き顔が甦ってきて、胸がきゅっと痛む。 あれから―――― よけいなことは考えず、淡々と夏期講習をこなして俺の高校生活最後の夏休みが終わった。 由梨さんとはその間メールも電話もしてない。(まぁ…前から用がなければしてなかったけど) 明日は待ちに待った火曜日だ。 やっと由梨さんに会える――――。 HRの先生の話は上の空で、俺の頭の中はもう明日のことに意識が向いていた。 . .
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