第25章

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今日も朝から快晴で、夕方になってもうだるような暑さが続いている。 少し汗ばんだ手のひらをズボンでゴシゴシ擦って携帯を開く。 ○○駅のバス亭。 由梨さんが来るいつもの時間まで、あと約15分――――。 時間が迫るにつれて俺の緊張も高まってくる。 ふうーっと大きく息を吐いて、緊張を逃がしながら 大丈夫 由梨さんはきっと来る 夕べから何十回と繰り返している、もはや精神安定の呪文のようになっているその言葉をもう一度心の中で呟いた。 プロ野球の携帯サイトを見てみたり、英単語帳を開いてみたり、音楽を聴いてみたり……。 何をしても落ち着かない。 今までの人生で最も長いと感じた15分をようやくやり過ごした頃には、俺の緊張はピークを迎えていた。 .
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