第25章

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「あっっ、うわっ…!!」 手から携帯が滑り落ちそうになって、慌てて両手でキャッチする。 一瞬、暑さと焦りで幻でも見たのかと思ったけど、幻覚ではないらしい。 目の前にいる由梨さんは、走ってきたのか息が上がっていて額には汗が滲んでいる。 「あのっ……ごめんなさい。遅くなって……。」 か細い声でそう口にすると、泣き出しそうな顔で頭を下げた。 「いやっ、全然大丈夫だから。あ、頭上げてよっ、それより、あの……。  ……ありがと、来てくれて。」 おずおずと頭を上げた由梨さんが、少し潤んだ瞳で申し訳なさそうに俺を見上げる。 そこまで気にすることないのに、と思いつつ由梨さんの目を見てもう一度伝えた。 「ほんと、来てくれてありがとう。めちゃくちゃ嬉しい。」 「裕二くん……。」 「並ぼっか。」 バス待ちの列に二人で並ぶ。 隣に由梨さんがいる。 ちゃんと、来てくれた。 さっきまでの不安が嘘みたいに消えて、ふわふわと浮かれてる俺。 少し遅れたくらいで気持ちが揺らいだ自分が恥ずかしい。 ……ゴメンね。 心の中で謝りながら隣に視線を向けると、由梨さんは少し俯いてハンドタオルで額の汗を抑えていた。 今日の由梨さんは後で髪をひとつに束ねていて 露になった白くて細い首筋の、思わず吸い付きたくなるような艶かしさにドキッとして、慌てて目を逸らした。 .
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