第25章

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「仕事、忙しかった?」 「………。    ……本当にごめんね。待たせちゃって……。」 「あ、ゴメン。そういう意味じゃないよ。  仕事だもん。学校みたいにいつも同じ時間にぴったり終わるとは限らないよね。大変だな~って思って。」 「………あ…うん…。……。」 うーん、フォローするつもりが逆効果になってしまった。 由梨さんは遅れたことを相当気にしているらしい。由梨さんてほんと真面目……。 「髪、結んでるの初めて見た。」 「おろしてると暑いから…。」 「似合ってるよ。可愛い。    ……うなじがちょっとエロいけど。」 「え?…ろい?」 「うん。」 にっと笑うと由梨さんは「もう」と口を尖らせてから、ようやくふっと表情を緩ませた。 到着したバスに一緒に乗りこむ。 窓に向かって並んで立つと、懐かしいような、切ないような、上手く表現しがたい気持ちがこみ上げてきた。 「久しぶりだね、一緒にバスに乗るの。」 「ふふ。そうだね。」 隣で由梨さんがふわりと微笑んだ。 あ……。 やっと笑ってくれた。 ずっと、ずっと逢いたかった由梨さんの笑顔。 瞼の裏に焼きついていた泣き顔を笑顔に上書きしながら、またこうして一緒にバスに乗れる幸せをそっと噛みしめた。 .
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