第26章

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「由梨さん、ここよく来てるの?」 「うん。居心地が良くて、時々来てるの。  蒼子(そうこ)さん……カウンターにいるあの人がこのカフェのオーナーさんなんだけど、通ってるうちに仲良くなっちゃった。」 店に入ったときの親しげな雰囲気はそれでか。 カウンターの方へ目を向けると、40代後半くらいの女性がコーヒーを淹れていた。 ゆるいウェーブのかかったショートボブが優しい顔立ちによく似合ってて、なかなか綺麗な人だ。 目が合うと、ニコッとさきほどの人懐っこい笑顔を向けられて、つられて自分も笑顔を返していた。 「感じのいい人だね。」 「うん。気さくでとっても話しやすい人でね、最近は蒼子さんとおしゃべりしにここに来てるような感じなの。」 嬉しそうに目を細める由梨さん。 もう一度カウンターの方を見ると、ちょうど蒼子さんが俺たちのテーブルにケーキと飲み物を運んでくるところだった。
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