パイプ~序章~

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数年前、まだパイプは繋がって、俺たちは人と人との関係を保つためのいわゆる中間役、普段は手紙やら小包を持ってビルの屋上を利用して走り回っていた。 もちろん、ビルとビルとの間で飛び越えられない場所はいたるとこにある、そういう時は自分達で道を創ったりもして、この仕事を趣味で参加していたり、本業にしている人もいた。 そんな仕事の中で、ひとつの決まりがあった。 決して中身の内容、その人との関係性を探ってはいけない、という決まり。 この決まりさえ守っていれば、たとえ事件に巻き込まれたとしても。 「自分は頼まれた荷物を運んだだけだ」 これで難を逃れられると、これが安易な考えだったことを、あの事件でよくわかった。 ただ、この一回の事件で取り返しがつかないほどの痛手を負う事に。
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