◆1◆

2/11
前へ
/13ページ
次へ
「くそ!!きりがねぇ……」 1人の青年が肩で息をしながら呟く。彼の目線の先には、魔物の大群が蠢いていた。 「もう終わりか……」 彼は、蠢く魔物たちに抗う術もなく、諦めて目を閉じた。 ズシャ…… グギャアアアアァァァ!!!! 来るべきはずの痛みもなく、響いた魔物の咆哮に驚き、青年は閉じていた目をゆっくりと開けた。 黒…… 目の前には、漆黒のローブに身を包んだ少年が刀を両手に持ち、立っていた。手に持つ刀からは、先ほどの魔物の血が滴り落ちていた。 「なにが………」 「戦場で目を閉ざすとは……お前は死ぬ気だったのか?」 まだ幼さの残る声が響く。 「お前は隊長だろう。お前が諦めて部下はどうすればいい……この国はどうなる?」 「……」 「もういい、部下を下がらせろ。そしてお前も下がれ」 「なに!?1人で戦うつもりか!!?」 「お前らがいても邪魔なだけだ!!下がれ!!!」 少年は、青年に怒鳴り付けた。自分よりも確実に年下の相手にバカにされ、青年は苛立ちを覚えた。 「おい「やめとけ~、厄介事を起こすな」……炎帝様!!?しかし!「はぁ……ほら、行けよ」」 緊迫した状況に、少々不真面目な声が響いた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加