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「くそ!!きりがねぇ……」
1人の青年が肩で息をしながら呟く。彼の目線の先には、魔物の大群が蠢いていた。
「もう終わりか……」
彼は、蠢く魔物たちに抗う術もなく、諦めて目を閉じた。
ズシャ……
グギャアアアアァァァ!!!!
来るべきはずの痛みもなく、響いた魔物の咆哮に驚き、青年は閉じていた目をゆっくりと開けた。
黒……
目の前には、漆黒のローブに身を包んだ少年が刀を両手に持ち、立っていた。手に持つ刀からは、先ほどの魔物の血が滴り落ちていた。
「なにが………」
「戦場で目を閉ざすとは……お前は死ぬ気だったのか?」
まだ幼さの残る声が響く。
「お前は隊長だろう。お前が諦めて部下はどうすればいい……この国はどうなる?」
「……」
「もういい、部下を下がらせろ。そしてお前も下がれ」
「なに!?1人で戦うつもりか!!?」
「お前らがいても邪魔なだけだ!!下がれ!!!」
少年は、青年に怒鳴り付けた。自分よりも確実に年下の相手にバカにされ、青年は苛立ちを覚えた。
「おい「やめとけ~、厄介事を起こすな」……炎帝様!!?しかし!「はぁ……ほら、行けよ」」
緊迫した状況に、少々不真面目な声が響いた。
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