~プロローグ~

3/3
前へ
/3ページ
次へ
 さて、皆から"ひめ"って呼ばれてるけど、別にうちが旧華族とか総理大臣の娘だって訳じゃないんだよね。  うちのパパンは第一機動隊、通称"旗本"の隊長やってるし、ママンは世界を またにかけて働いてた元警察幹部だし。ひめって呼ばれる割に扱いが酷い時の方が多い気がするし?  ただ、私の名前が緋鳴(ヒメイ)だから、皆が略して"ひめ"って呼んでいるだけ。  それが"日常"。 「ひめ~。宿題何が出てたっけ~?」 「それぐらい覚えてようよ~。数学と古典のプリントが出てるよ~。先生が明日答え合わせするって~」 「あ、忘れてた!ありがとう!!」  同じクラスの友達との他愛ない話。 「今日は漫画の発売日だし、本屋さん寄って帰ろうっと」  前を同じ制服の子達が歩いている。  自転車に追い抜かれるのも、友達同士で話ながら帰るのも。  "日常"の一つ。  違う道で行ってみようかなぁ。  何となくそう思って歩き出した道はそんなに人気がなくて、むしろ、歩いているのは私位だから少し気味が悪いのを感じた。 「う~ん。気のせいかな?何かやな感じだなぁ」  そう呟いた瞬間、何かが飛び出した。  驚いたけど、冷静に判断していく脳は、飛び出したそれを確認して周囲に注意を向ける。すぐ近くを猛スピードの車が迫って来ていた。  反射的にそれを突き飛ばす。  その瞬間。  私はこの世から消えていた。  ここから、私の"非日常"が始まった。 *
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加