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さて、皆から"ひめ"って呼ばれてるけど、別にうちが旧華族とか総理大臣の娘だって訳じゃないんだよね。
うちのパパンは第一機動隊、通称"旗本"の隊長やってるし、ママンは世界を またにかけて働いてた元警察幹部だし。ひめって呼ばれる割に扱いが酷い時の方が多い気がするし?
ただ、私の名前が緋鳴(ヒメイ)だから、皆が略して"ひめ"って呼んでいるだけ。
それが"日常"。
「ひめ~。宿題何が出てたっけ~?」
「それぐらい覚えてようよ~。数学と古典のプリントが出てるよ~。先生が明日答え合わせするって~」
「あ、忘れてた!ありがとう!!」
同じクラスの友達との他愛ない話。
「今日は漫画の発売日だし、本屋さん寄って帰ろうっと」
前を同じ制服の子達が歩いている。
自転車に追い抜かれるのも、友達同士で話ながら帰るのも。
"日常"の一つ。
違う道で行ってみようかなぁ。
何となくそう思って歩き出した道はそんなに人気がなくて、むしろ、歩いているのは私位だから少し気味が悪いのを感じた。
「う~ん。気のせいかな?何かやな感じだなぁ」
そう呟いた瞬間、何かが飛び出した。
驚いたけど、冷静に判断していく脳は、飛び出したそれを確認して周囲に注意を向ける。すぐ近くを猛スピードの車が迫って来ていた。
反射的にそれを突き飛ばす。
その瞬間。
私はこの世から消えていた。
ここから、私の"非日常"が始まった。
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