4人が本棚に入れています
本棚に追加
「いっやぁー、ゴメンゴメン!
友達にラリアットかましてたらさぁ」
「……そう」
頭に出来た立派なたんこぶを抱え、保健室に連行された私は、先生不在という困った事になっている。
同じクラスで元気の良い(むしろ煩い)矢沢くんが、平謝りをしながらヒヤリとした手で私のおでこに触れた。
「つっ…!」
若干強い痛みにピクリと反応すれば
「あー、痛い?
ほんっとゴメン」
なんて男の子なのにどこか可愛らしく、申し訳なさそうにペコリと謝られる。
「別に…大丈夫だけど……」
「そう?
……なら良かった」
ふんわりと笑った矢沢くんは、もう一度ごめんと謝ると、私のおでこを撫でた。
「じゃー、冷えピタ貼ったら教室戻ろっか」
「うん、ありがとう」
……ふざけた人だと思ってたのに。
額に触れる冷たい感触に目を瞑りながら思ったのは、矢沢くんが意外と優しいということだった。
最初のコメントを投稿しよう!