1時限目

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教室に戻れば、担任の先生が待ち構えていた。 「おぉ、二人ともどうした? 成績表、返ってきたんだぞ~」 呑気な声が特徴の中山先生は、私と矢沢くんにテストを返すと、ふっと笑った。 「…なんですか?」 「いいや、お前たちは本当に正反対だなって思ってなぁ…。 矢沢ぁ、お前…ちっとは有栖川を見習えよ?」 よく分からない先生の言葉に、私はボンヤリと返却されたテストに目をやる。 92、98、87、100… 見慣れた及第点から80点台を発見して、もっと頑張れば良かったと後悔すれば、横からは元気な声。 「有栖川サンすっげ~! つーか一位じゃん、もう頑張るなよ~、俺なんかビリだっつの…」 「え」 ピタリと私の呼吸が止まる。 「ほらなー」 目の前の先生がアハハと笑って私達を交互に見てきた。 「ビリ…?」 「やべっ、口に出ちった☆」
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