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「有栖川さーん!」
可愛らしいニコニコな笑顔。
放課後の私の席。
遠くから走ってくる彼に、ため息が止まない。
「あれ?
美姫は帰らないの?」
隣にいた綾香が私を見て驚いたような顔をした。
「えと…」
「ごっめーん!
有栖川さんは、今日から放課後僕が勉強みてもらうの!」
戸惑う私に、横から入る矢沢くんの声。
「ふぅん…そっか。
アイスクリーム食べよっかなって思ってたのになぁ…」
「えっ?」
綾香のアイスクリームという単語に、駅前のフォーティワンを思い出す。
「せっかくのレディースデイだったのに…」
あのお店のアイスクリームは、41種類のアイスがあり、お気に入りだった。
今日、そこにいく予定は無となったのだけれど。
「じゃあ、またね」
なんてにこやかに手を振る綾香の姿に、私はすがり付きたい気持ちでいっぱいになる。
けれど、次の瞬間に感じたのは、腕を掴まれる感触と、ドアの閉まる音だった。
「ねね、有栖川さん、教えて?」
「……うん」
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