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通された場所は、小さな個室だった。
「だから、佐藤、鈴木、高橋。日本だったらこの3択でしょう」
「中国での、王、李、張みたいな感じか?」
「United KingdomでのSmith 、 Jones 、Williamsみたいな」
「ウズベキスタンでのAhmedov、Khodjaev、Karimov」
「ウズベキスタン?」
「今、鳥雅が長期任務で行っているのだ」
「うえ。きな臭い仕事ですね。大丈夫か、あいつ」
店員が見せるメニューを父上は手の甲で払い、
「一番いいのを頼む」言って虎ノ介に向き直り、「大丈夫だ、問題ない」
「……それ、一番心配なやつ」
父上と虎ノ介の軽口を聞き流していると、目の前にコトリと皿が置かれた。
う……。
「フルーツトマトの燻製バルサミコソテーでございます」
皿が真っ赤だった。
「なんだ皇士郎、食わんのか」
食うもなにも、今、赤いものを口に入れられる気がしない。
「いえ……」
皿から逃れるように視線を上げれば、赤ワインが入ったグラスを口に寄せる父上と目が合った。
うっ。
強烈な、めまいに襲われた。
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