559人が本棚に入れています
本棚に追加
言い返そうとした直後、手に持っていた冊子の間から、何かがばさりと落ちた。
音を目で追えば、畳の上に写真がばらまかれていた。
時が、パツン、と、乾いた音を立てて、止まった。
そして、どこまでも時間が遡る。
胸が熱くなった。痛くなった。写真に伸ばした指先まで、ちりちりと焦げ付くように痛む。
日付も時間帯も違った、数十枚にも及ぶそのどれもで、少女が笑っていた。
やはり、可愛いというには美しく、美しいというより、ただただ眩しく――。
「それは」無意識のうちで止めていたらしい息を吐きだしながら、「俺が判断することだ」
目が離せなかった。
目を離す手段を持ち合わせていなかった。
最初のコメントを投稿しよう!