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('A`)は黒マントのようです
昼間に活気が有る場所程、余計に夜の無人さは目立つ
まるで残響のように
そんな夜中に不意に表れたのは、非常ベルの真紅の明かりに照らされた小さな影
此処はとある小学校
廊下を駆けるその子が目指すのは、普段彼女の通っている三年四組の教室
目指すはリコーダー
目当ての教室に辿り着き、鍵が壊れて閉まらない扉を開ける
少女の名はクー
クーが教室に足を踏み入れ、自身の机を弄り始めた
―――その刹那
開けておいた教室の扉は閉まり、掛からない筈の鍵が掛かる
遮光カーテンが閉まる
暗闇に満たされた教室で恐怖感が煽られ、小さな躯が震える
瞳に涙が滲む
ブンッと機械的な音と共に、無機質な光が背後から指す
光に安堵を求め振り返る
しかし其処に人は無く、放たれる光はただただ意思もなく辺りを照らす
其処にはテレビ
聞こえるのはノイズばかりであるが、良く見れば画面に何かが映っているようだ
一歩近付く
画面をゆらゆら揺れる黒い影が、次第に形をはっきりさせていく
画面には黒いマントの男
ノイズはもう、聞こえない
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