125人が本棚に入れています
本棚に追加
《2 years later of previousstory》
偏差値が高い。
進学率が高い。
風紀が乱れてない。
そんな安全圏の高校に進学して、安定した将来を目指して気楽に生きる。
そんな平凡な生き方もありかもしれないと、2年という歳月をかけて俺は答えを導き出していた。
けれどこの2年もの間、唯一心の中で悔い続けていた『相棒』。
そう簡単に忘れ去ることなど出来はしなかった。
未練タラタラな様子で情けないが、あの日から一日も欠かさず『相棒』に隠れて向き合っているのが日課だ。
俺は人生で初めて「未練って怖いな」と、感じた瞬間だった。
私立奏聖舘音楽学大学付属の男子高等学校、略して奏聖高校。
この高校は日本でも5本の指に入るほど有名な高校でもあった。
その理由は稀に見ない特殊な内部構造をしているところにある。
普通科と芸能科そして音楽科という3つの学科で構成されている学校。
ここに通っている生徒は各方面で多大な活躍を見せる者や、エージェントに実力を見咎められ、未だ発展途上中の卵たちばかり。
いわば優秀な学生ばかりを集めた学校だからこそ、世界に名を馳せていた。
そんな学校に俺、福澤誠一(ふくざわ せいいち)は今春めでたく入学を果たし、そして既に5ヶ月が経過していたりする。
そう、当初の計画通り平々凡々に悠々自適な高校生活を送っている。
今は放課後前のホームルームの時間で、先月受けさせられた全国模試の結果が配られたところだった。
結果は予想どおりの順当で満足している。
「わぁお!セイちゃんってば凄いね、学期末だけじゃなくて全国高校模試でもトップだなんて」
「まぁ、成績は良いほうがこの先楽だからなぁ」
「はは、誠一ってば何時もそればっかだねぇ~」
横から勝手に覗き込んだうえ、乾いた笑みを送ってくるのは親友の我妻鏡(わがつま かがみ)。
見た目も話し方もチャラチャラしたチャラ男だが、頭だけはこの高校の普通科に受かるほどの実力の持ち主である。
最初のコメントを投稿しよう!