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俺はヒーローに憧れていた。 弱きを助け強きを挫く。そんなヒーローが大好きだった。 だが、もしも現実にヒーローになると様々な犠牲を支払うことになる。 悪の組織と戦おうものなら、くつろげる時間は無いと言っても過言では無いだろう。何故ならいつ自分が狙われるかわからない上に、いつ、どこで、誰が悪の組織に襲われるかわからないから気持ちが休まらない。 それに悪の組織に愛する人や親友を殺されるかもしれない。 そう考えるとヒーローになるアニメや特撮などの主人公たちは、馬鹿だと俺は思う。 俺なら、自分がヒーローになって色々と代償を払うくらいなら、代わりの人を探してその人にヒーローになってもらおう……などと考える。 安易にヒーローになったりしない。 いつかそんなことを考えた日があった。 ヒーローになんかなるもんじゃない。ヒーローになる奴らは馬鹿だと思う。 ところが俺は、その台詞を自分に対して発しなければならなくなった。 そう。俺はヒーローになってしまったのだ。 安易な気持ちで……。
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