始まり

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「…おおそうだ…江戸桶町の千葉道場にはたいそう世話になってしまって…二ヶ月以上逗留させて頂いた…おまんからも礼を言っといてくれ…しかし龍馬…」 桔磨はからかうように笑い 「おまんも隅に置けんのぉ…さな殿がよろしゅう言いよったぞ…おまんが使っとった部屋で蝦夷地探訪の報告をまとめさせてもらったんじゃが…さな殿にはほんとうに世話になった。…ほれ、さな殿からの手紙じゃ…」 桔磨は懐から手紙を取り出すと龍馬に手渡した。 「他のご家族は息災じゃったか?」 龍馬が手紙を受け取り懐にしまいながら聞いた。 「…お元気だ。重太郎さんから話は聞いたが…龍馬…おんしゃ罪作りぞ」 戸が開き、松吉が軍鶏鍋と酒を運んできた。
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