天女伝説 1

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「何でも、その村の先祖は頼朝の奥州の乱の時…蝦夷に逃げ延びた義経の家来だったらしい…」 龍馬は黙って話を聞いている 「その先祖の大将格が体を壊し義経一行二十人ほどは回復を待ってその地に家を作り二年ほど逗留したんじゃそうだ。逗留してる間アイヌの娘とねんごろになり子をもうけた武士も何人かおり、大将格の武士はこれ以上の旅は無理と判断され、身の回りの世話をするおなごと彼の地に残り、義経一行数人は大陸に渡るため旅立っていったそうだ」 桔磨は酒で唇を湿らせ続けた。 「一行が去って数年して男は丈夫になったが、おなごと夫婦となりその地で暮らした。男は弓の名人で狩りをし、畑を作り、アイヌの民に和語などを教え暮らしたそうだ…そのうち二人に男の子が授かった。物語はその子が十八の夏の話だ…その男の子の名はタケルと言った」
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