1人が本棚に入れています
本棚に追加
翌朝、タケルは狩り用の弓と矢、食料その他を背負いアサヒと共に出かけた。
途中、森に前もって隠し置いた戦用の強弓と矢を持ち山に入った。
「この弓が無い事に気が付けば、母上は悟られる事だろう…」
その日タケルは迂回しつつ湖に向かう。
途中何匹か獲物を射、アサヒも兎を二羽しとめた。
明日湖に入る事とし、野営地を早くに決め火をおこし、獲物の皮をはぎそれを干し。肉は山菜とキノコを入れ味噌玉を削り汁とした。余った肉はアサヒが平らげた。
「アサヒ、明日から暫く飯は食えないかもしれない…」
アサヒは判ったと答えるかのように
「ピッ」
と短く泣いた。
父と何度となく山に狩りに行った。
夜、戦話を聞くのが常であった。義経様一行は無事大陸に渡られたろうか…
太い薪を火に投げ入れタケルは眠った。
最初のコメントを投稿しよう!