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またうとうとしかけた時 、さっきの子供の声が聞 こえてきた。 『神父さま、死んじゃっ たの?』 『ううん、心配ないから ね。大丈夫ですか?』 さっきの子供の声に混じ って別の声が聞こえる。 俺はうっとうしさを隠し もせず、目を開けて声を かけてきた人物を見上げ た。 「天使…」 『え?』 声の主が戸惑ったように 俺の顔を見つめた。 よく見るとそれは白い服 をきた男だった。 服装からして聖職者のよ うだ。 『大丈夫ですか?どこか 痛みますか?』 男は再度同じ問い掛けを 繰り返した。 「眠いだけ。ほっといて くれたら、すぐ消えるよ 」 『良かった、怪我とかじ ゃないんですね』 男は心底ホッとしたよう な笑みを浮かべた。 『良かったら、教会に来 て下さい。仮眠出来ると ころもあります。ここよ り休めますよ』 俺は無言で頷いた。 疲れきって脳は完全に考 えることを拒否っていた 。
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