プロローグ

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あいつは勝手な奴だ。 勝手に現われて、勝手について来て、勝手に……俺に火傷のような記憶を残した。焼けるように熱くて痛くて、ヒリヒリする。 思い出せば思い出す程、身体に染み付いて、焼き付いて、消せない一生傷になる。俺は何故か、それが心地よかった。 記憶の痛みか、怪我の痛みか段々はっきりと分からなくなる。 柄にも無く、薄れゆく視界の中で、ぼんやりとそんなことを考えた。
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