ふざけんな

1/6
前へ
/63ページ
次へ

ふざけんな

新歓の劇はそれはそれは素晴らしいものだった。特に問題も起こる訳ではなく無事終える事ができた。 学園ではテストが近いためにすっかり皆勉強モードに入っている。 俺はというといまだ終わる気配を見せない書類を何とかテスト前までに終わらそうと奮闘していた。 いくら椎名が生徒会に戻ったからといい書類が減る訳ではないのだ。 最近では転校生に対する苦情の対処だけでも手一杯である。 「か、いちょ、おわ た!」 ハッとしながら横をみやると書類を手にした椎名がいた。 「ああ、すまない。」 慌てて受けとると椎名は不思議に思ったのか俺の顔を除き込んできた。 「かいちょ隅、す、ごい。」 「そうですよ。」 ガタと音をあげてさっきまで黙っていた森本が口を開いた。 「うっせー、本人が大丈夫って言ってんだろ」 実を言うとテスト勉強をしたい、睡眠をとりたい。 しかし、今はそんな事を言ってられる事はできないのだ。 「じゃあ会長、少しお願いしてもよろしいですか?」 「あ?何だ?」 「会計の仕事、いま会長1人でやってますよね?」 下の尻拭いは上の者がやるのは当然のことだ。 「あぁ…。」 「それ、僕達にもやらせて下さい。」 「何故だ?」 「3人でやれば3倍速く終わります。それでその後、勉強を教えて頂けませんか…?」 「は?」 「お、れも!」 椎名がにこにこしながらこちらを見てくる。 そんな目で見られたら…。 「はぁ…よろしく頼む…。」 断れる訳ないだろ…。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2073人が本棚に入れています
本棚に追加