0人が本棚に入れています
本棚に追加
ねぇ。
どうしてわたしたちは
こうなってしまったのかしら。
教室はまるで羊小屋である。
家鴨や鵞鳥でもいい。
同じように教えられ、同じように生活しなければ生きていけない。
そんな生き物がぎゅうぎゅうと肩を寄せ合っていて、息が詰まるのだ。
千雪は肺に酸素を取り込むため、外に取り付けられた非常階段へ出た。
空の青さを見上げるほど、喧騒が耳を侵す気がした。
この星の大気にまで見捨てられた気がして、本当はこの世の何処にも、自分の居場所なんてないのかもしれないと思った。
だからこそ。
偽りでも束の間でも良いから、失いたくない空間があった。
最初のコメントを投稿しよう!