光と暗闇の違い

2/2
前へ
/6ページ
次へ
――ダンテル松本side―― ふん。 勇者達は、私のことを仲間だと確信しているようだな。 それは全くのお門違いというものだ。 私は ……邪教皇ゼピルム様の右腕、ドムテール米山だ!! まぁ ゼピルム様の利き腕は左手だが…… そんなことはどうでもよい!! 私は、ゼピルム様に忠告された。 勇者の記憶が戻れば、必ずとも、ゼピルム様が破滅に追い込んだオーマサカリナッタリ村に行くであろうと、 そして自分の父親から、伝説の武器である 《ハリ戦凡》(はりせんぼん)を手に入れるであろうと。 それだけは避けねばならないと何度言われたことか……。 寝る前にずっと耳元で、ぼそぼそ言われたら誰だって覚えるよ……。 そんなことはどうでもいい!!! ゼピルム様が魔王と戦っている今、私がどうにかしなければならない。 だから 私は、ハリ戦凡を貰いたい&仲間になりたいと言って、勇者に近寄ったのだ。 余計な者が一名いたが……。 それでも頭脳明晰の私は、勇者のストーカーのふりをし、あえて勇者達に違和感を与え、余計なことを聞かれないようにしたのだ。 最初の、ハリ戦凡をもらう作戦は失敗したが、なんの疑いもなく、すんなりと仲間に入れてくれた。 愚かなバカ勇者め!!! 礼を言うぞ、ありがとう!!! そして 後悔するんだな、 私をお前のパーティーに入れてしまったことを…!!(心の中で爆笑) しかし それからまた一人、余計な者が増えた…… しかも なかなか可愛いではないか……。 そんなことはどうでもいい!!! 私は、ストーカーという役柄の中、勇者にベタベタと引っ付き、ハリ戦凡を奪おうと努力したが、私の上手すぎる演技により、ドン引きされてしまった。 ……ここは計算違いだったな。 勇者だけではなく 他のものにもドン引きされるとは、いささか不愉快だ……。 ハートが傷ついた私は、それ以上のことはできなかった……。 そうして今ここにいる。 まずい まずいぞ。 勇者がハリ戦凡の力を解き放った時、勇者の記憶が完璧に目覚め、最強の戦士が誕生する。 この武器がない状況で戦闘になれば、必ず勇者はハリ戦凡を使う。 それだけは絶対に阻止せねば!!! ――これも 何回寝る前に言われたか………。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加