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――ダンテル松本side――
ふん。
勇者達は、私のことを仲間だと確信しているようだな。
それは全くのお門違いというものだ。
私は
……邪教皇ゼピルム様の右腕、ドムテール米山だ!!
まぁ
ゼピルム様の利き腕は左手だが……
そんなことはどうでもよい!!
私は、ゼピルム様に忠告された。
勇者の記憶が戻れば、必ずとも、ゼピルム様が破滅に追い込んだオーマサカリナッタリ村に行くであろうと、
そして自分の父親から、伝説の武器である
《ハリ戦凡》(はりせんぼん)を手に入れるであろうと。
それだけは避けねばならないと何度言われたことか……。
寝る前にずっと耳元で、ぼそぼそ言われたら誰だって覚えるよ……。
そんなことはどうでもいい!!!
ゼピルム様が魔王と戦っている今、私がどうにかしなければならない。
だから
私は、ハリ戦凡を貰いたい&仲間になりたいと言って、勇者に近寄ったのだ。
余計な者が一名いたが……。
それでも頭脳明晰の私は、勇者のストーカーのふりをし、あえて勇者達に違和感を与え、余計なことを聞かれないようにしたのだ。
最初の、ハリ戦凡をもらう作戦は失敗したが、なんの疑いもなく、すんなりと仲間に入れてくれた。
愚かなバカ勇者め!!!
礼を言うぞ、ありがとう!!!
そして
後悔するんだな、
私をお前のパーティーに入れてしまったことを…!!(心の中で爆笑)
しかし
それからまた一人、余計な者が増えた……
しかも
なかなか可愛いではないか……。
そんなことはどうでもいい!!!
私は、ストーカーという役柄の中、勇者にベタベタと引っ付き、ハリ戦凡を奪おうと努力したが、私の上手すぎる演技により、ドン引きされてしまった。
……ここは計算違いだったな。
勇者だけではなく
他のものにもドン引きされるとは、いささか不愉快だ……。
ハートが傷ついた私は、それ以上のことはできなかった……。
そうして今ここにいる。
まずい
まずいぞ。
勇者がハリ戦凡の力を解き放った時、勇者の記憶が完璧に目覚め、最強の戦士が誕生する。
この武器がない状況で戦闘になれば、必ず勇者はハリ戦凡を使う。
それだけは絶対に阻止せねば!!!
――これも
何回寝る前に言われたか………。
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