闇は己の中に

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魔王を倒しに行こうったって、武器が無くちゃ話しにならない。 所持金は、目が覚めてから0。 地道に宝箱とか探すしかないか……。 でも この世界なんかおかしいんだよな。 え? なにがって? そりゃもう設定が。 ここまで来るのに、何個か宝箱があって、ワクワクしながら開けてみたけど…… 中身は ノコギリとか、金づちとか…… どうやって倒せっちゅうねん!! 万が一倒したとしても、読者に生々しい描写を想像させちゃうじゃんかよ!!! まぁでも俺の場合、 普通の剣でも、魔法や必殺技がないから、そういう生々しい倒し方になりかねないんだけどな。 しかも 俺自体、血が怖いし、そういう殺すような道具さえも、見るのも耐えられないから、その場に置いてきちゃったんだけど……。 そうこうしているうちに またもや俺の目の前に、真っ赤な宝箱が…… 俺は恐る恐る宝箱を開けた。 そこには ちょうど、お笑い番組などで使われる大きなハリセンが入っていた。 ご丁寧に分厚い取り扱い説明書まで入っている。 読んでみた。 《この武器は、 オーマサカリナッタリ村の、伝説の武器。 ハリ戦である。 このハリ戦は、使用者のツッコミが上手ければ上手いほど、ツッコんだ相手に大ダメージを与えることが出来る という素晴らしい武器なのである。 逆に、ツッコミが下手であれば、威力は激減し、ダメージを与えることが出来ない。 いわば諸刃の剣である。》 …… へ? なにこれ…… もう一度言おう なにこの設定。 てか なにそのオーマサカリなんとか村って?? 村の伝説の武器なら もっとましな武器にしろよ!! あったろもっと伝説にふさわしい武器とかさ!! しかも なにちょっと最後にかっこよく《諸刃の剣である》とか書いてみちゃってんの!!? 意味わかんないよ!! 俺はハリ戦を持ってみた。 まぁ 武器が無いのも、なんか心もとないから、なんだかんだ文句いいながら持っていくけどさ……。 ふと、 ハリ戦を持っていた指に、何かが当たった。 見てみると、on/offのスイッチだった。 なんでスイッチなんかが……? 取り扱い説明書を見てみる。 《on/offで簡単威力調節。 これであなたも、世界一の芸人に…… *初回につき、サービスで単3電池三本が入っています。》 「電池式かい!!!」
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