∽1∽ 15の朝

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軍隊に入る前の日。 つまり、士官学校の卒業式の日。 その朝。俺達は何かを失うには早過ぎた。 同時に、それに気づくにも多分、遅過ぎた。 卒業式にリオは出なかった。 さすが不良とも言えたが、いやいやヤバいだろ…とずっと考えていた。 それでも出ない奴は出ないし、色々と時既に遅しなんだが。 リオとやっと会ったのは、学校を出る時。 わざわざ遠回りして部屋まで様子見に行ってやった点は、ふざけんなと言ってやりたい。 言ってやりたかった。 その姿が見慣れてはいるまさしくケンカ後のそれじゃなかったら。 「…………何してんだ?」 「………お前を待ってんだよ」 そいつはゴメン―――とか言う訳ない。 「その顔はどうしたんだって聞いてんだよ」 「ケンカした。――ケンカっつーか、だけどな」 「それは別にどうでもいい。誰と?」 「………………………ネルソン」 「あのオニ教官?」 「他に誰だよ?」 「いや、いないと思うけどさ。……お前、誰彼構わずケンカ売んのはやめろよ」 「売ってねぇよ。相手が売ってんだ」 「じゃ買うのやめろよ。もういいオトナなんだからさ」 「解ってるよ!」 それもう何回も聞いた、っていうのは今回は黙っておく事にした。 相当キレてる時は空気だけで解るようになった。 幼なじみかつ腐れ縁ならではってトコか。 「……この後どうする?」 「…………帰るよ」 「そっか」 「お前は?」 「兄貴が迎えよこすって。メッチャ久々だ」 「…………………へぇ」 「………。帰りの列車代、ないのか?」 「…………」 あいにく持ち合わせがなかったから、俺の迎えの人に頼んでみる事にした。 .
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