権利

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こうして抱きしめられたまま、ずっといられたらいいのに…。 「菜月、俺と付き合え。」 「もう、フリはしませんよ。」 「…本当は、フリなんて頼むつもりなかったんだけど…」 ボソボソと呟く。 「えっ?!」 驚いて顔を上げると、何とも言い難い顔の片山さんと目があう。 「…そんな目で見んな。」 どんな? チュッ…。 不意にキスをされた。 「そんな可愛い顔したら我慢出来なくなるだろ」 もう一度、唇が触れ合う。 さっきのキスより、長く、優しいキス。 「菜月…さっきの返事は?」 すぐ目の前に片山さんの顔がある。 心臓に悪いよ…。 頭も混乱しちゃう。 「片山さん…私の事、好き…なんですか?」 「…分かんないの?」 驚いた顔された。 「だって…」 言葉が続かず俯く。 自信がない。 「俺はずっと菜月が好きだよ。」 耳元で優しい声が響く。 「ずっと?」 「ずっと。」 俯いたままの私の顔を包む優しい掌。 そっと顔を持ち上げられる。 片山さんの優しい瞳に促される。 「…私、片山さんが好きです。」 やっと私の気持ちを伝えると、片山さんはニッコリと微笑んで、もっと甘いキスをくれた。
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