第1話:遥と千鶴

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  どっちみち、文句を言われることには変わりはないのだ。 だったら、あたしだけお弁当を食べて遥にひもじい思いをさせるよりは、届けて「ウザい」と一言浴びるほうが何倍もマシ。 しょうがないのだ、遥は。 猫みたいに気紛れだから、ちゃんと帰ってこいと言うほうが無理な話で、親もその辺りはほとんど諦めているのに、あたし個人がどうこうできるわけもない。 「ふぅ~ん、そういうモンなの。だから嫌だよね、女って」 「あっそ」 「こっちはつき合ってるつもりもないのに彼女気取りでさ、告白する勇気もないのにちづに八つ当たりでしょ? お門違いだよ」 「そうね」 まぁ、あたしも遥に八つ当たりしている時点でお門違いだけど。 「じゃあ、ちづに免じて今日は帰るよ。夜遊びもそろそろ飽きてきたし、いい加減勉強しないと学年首位から陥落だし」 鈍感なのか、八つ当たりされていると感じていないのか、遥はそう言って裏門へ向かっていった。 …てか、さらっと嫌味ですか。 あれだけ必死に勉強して入ったこの高校も、遥にとっては滑り止めレベルですか。  
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