第1話:遥と千鶴

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  あたしがバイトをしている本屋さんは深夜0時までの営業で、21時からの3時間は、店の規則で働けないあたしの代わりに誰かがシフトに入ってくれる。 今日はたまたま吉岡さんだった、というか、ある程度狙って吉岡さんがバイトに入れる日にあたしもシフトを調整してみたり。 まぁ、ほのかに想うくらいでちょうどいいと思う今のあたしにとっては、2週に1回のペースで顔を会わせるのがベストな間隔だ。 「うーん…」 鞄の中から携帯を出し、スケジュール画面を眺めながら思案する。 さっきの会話の通り、吉岡さんには日頃のストレスの捌け口になってもらっていて、その間隔も空きすぎるとあまりよくない。 というのも、吉岡さんのほうからわざわざ連絡をくれたり無理に時間を作ってくれたり…というのが、以前、過呼吸で迷惑をかけてからの数回、あったからだ。 甘えていると自分でも分かっているのだけれど、そんな吉岡さんの好意が嬉しくて、ついつい本気でスケジュール画面とにらめっこをしてしまうあたしがいる。 すると。 「ちづ、お疲れ」 「…。遥」  
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