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221 傷 ◆cmuuOjbHnQ sage 2007/03/10(土) 00:18:38 ID:WmdfX0hw0 車中では3人とも無言だった。 後部座席のオバサンは水晶の数珠を手に持って声を出さずに唇だけでブツブツ何かを唱えていた。 15分ほどで俺たちはホテルに着いた。 俺たちは車から降りた。 後部座席のドアが開いてオバサンが車から降りた瞬間、オバサンが手にしていた数珠がパーンと弾け飛んだ。 オバサンは顔に汗をびっしょりかいて怯えた様子で「ごめんなさい、これは私の手には負えない。 気の毒だけれど、ごめんなさい」と言って大通りの方に足早に向かって行った。 するとPは物凄い剣幕で「ふざけるな!金はいくらでも出すから何とかしてくれよ!」と叫びながらオバサンを追った。 オバサンはPを無視して早足で歩く。 すがり付くようにPは朝鮮語で泣きそうな声で喚きたてた。 しかし、オバサンはタクシーを捕まえて、Pを振り切って去って行ってしまった。
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