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223 傷 ◆cmuuOjbHnQ sage 2007/03/10(土) 00:25:06 ID:WmdfX0hw0 たった1ヶ月会わなかっただけなのに、Pの姿は変わり果てていた。 Pは安田大サーカスのクロちゃんに似たピザだったが、別人のようにゲッソリとやつれていた。 肌の色はドス黒い土気色で、白髪が一気に増え、円形脱毛症だらけになっていた。 Pが消え入りそうな声で「よう」と声をかけてきた。 俺が「どうしちゃったんだよ?」と聞くとPは答えた。 Pは俺をホテルに迎えにいった晩から今日まで「あの部屋で」「毎晩」「斬り殺されている」らしい。 殺されて次に目が覚めたときには自分の部屋にいるのだけれど、 今いる自分の部屋より「あの」ホテルの部屋での出来事の方がリアルなのだと言う。 Pの話を聞いて俺もあの晩のことを思い出して嫌な汗をかいた。 変わり果てたPの様子、霊媒師に逃げられた晩の必死な様子にも納得がいった。 そして、1ヶ月もの間、毎晩あの恐怖に晒されながら正気?を保っているPの精神力に驚きを隠せなかった。 俺はPに「御祓いはしなかったのか?」と聞いた。 Pは答えた「祈祷師、拝み屋の類も色々回ったけど、これを見ただけで追い払われたよ。 あのババアに逃げられたってだけで会ってももらえないのが殆どだったけれどな」 そう言うと、Pは着ていたTシャツを脱いだ。 Pの体には俺と同じ、夥しい数の「傷」があった。 膿んで深くなったもの、まだ痣の段階のもの…
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