8章

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だけどやっぱり、いくらファンとはいえ、とった行動は、あまりにも常識を逸しすぎてる。 だから、その処置は間違っていないとは思うんだけど……。 でもやっぱり、一年に一回というのは少ない気もする。 予定が入って来れなくなっちゃった人なんかは二年待ちだし、連続でダメになったら、何年も待たなきゃいけない。 だけど、だからって年中、ファンの立ち入りを許可したら、また何が起きるか分からないし……。 「……毎年ね、電話が来るんです」 私が一人で悶々と考えていると、不意に小百合さんが呟いた。 「電話ですか?」 「はい。沖田総司忌の後が一番多いんですけれど、毎年、ファンの方から、お寺の方に」 「……え」 専称寺に、ファンからの電話? でも確か… 「あの……。それは、ダメじゃありませんでしたっけ……」 戸惑いがちな私のその言葉に、小百合さんは目を伏せて頷く。 .
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