8章

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「毎年、沖田総司忌の後にかかってくる、たくさんの電話。その内容は、全員が抽選に当たるようにしてほしいだとか、書籍がすぐ売り切れてしまっているので、もう少し多く用意してほしいだとか、そういったものです。つまり、沖田総司忌に関する、ファンの方からの要望なんですね」 夏で暑いからか、専称寺はすべての障子が開けてあって、外に面したところからは太陽の光が入ってきて、年期の入った廊下が、眩しいくらいに輝いている。 時折、熱を持った風が吹いては、青く繁る葉を揺らしていて、その葉音に蝉の声が重なる。 小百合さんと並んで廊下を歩きながら、私はただ、彼女の話を聞いていた。 「そして、その中でも特に多いのが……」 .
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