3章

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「このままだと、医学部は難しいかもしれませんね」 神妙な面持ちでそう告げるのは、机の上の私の成績表を、猫背になって覗き込む担任の先生。 「そうですか」 その言葉に、お父さんが重々しい顔で頷く。 しばしの沈黙。 そして数分後、お父さんは黒板の上の時計を一瞥し、 「どうも、長いことすみません。ありがとうございました」 と言って頭を下げ、立ち上がった。 「……ありがとうございました」 私も、それに続く。 「あの、全然鉄砲届きしないというわけでもないので、そう気を落とされずに、あと数ヶ月、頑張ってください。努力次第で、何とかなると思います」 お父さんと私の沈んだ声に、先生が慌ててそう言う。 フォローしてくれてるんだろうな……。 でも今の私には、そんな言葉、重荷なだけだった。 .
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