8章

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確かに。 きっと皆、どうしてあの子だけが? と憤るに違いない。 それこそ、塀を飛び越える人も続出しそう。 「ですが、この着物を着て頂くことで、皆さんは藤崎さんのことを、専称寺または沖田家の人間だと思うわけです。それは、藤崎さんを守る盾にもなりますし、ファンの方たちの行為の牽制にもなります」 「なるほど……」 すごい。たくさん考えてくれてるんだ。 「ですので、両者のためにも、この着物は着て頂く必要があるんです。……失礼ですが、着物はお一人で?」 「あ、えーと……。多分でき……ると、思います。……できないかもしれませんが」 小百合さんの言葉に、私ははっきりしない返答を述べる。 .
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