8章

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目の前にある着物は、生地自体は濃紺で落ち着いた色だけど、その上には、白い大輪の花が描かれていたり金が飛んでいたりして、全く地味な印象は受けない。 かと言ってもちろん派手ではないけれど、日本的な美しさ、風情を感じさせる代物だ。 「きれい……」 どちらかと言うと、私は浴衣とかでも、あまり派手な色より落ち着いた色の方が好きだから、これは嬉しい。 「……着れるかなぁ」 とは言え、ちゃんと一人で着れるかどうかは確定していないわけで。 それに、実を言うとこの暑さの中で着物を着るというのはあまり気乗りしない。 .
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