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朝に皆であげた線香の火は、当たり前だけどすっかり消えていて、燃え尽きていないものも大量にあり、私はそれらにも火をつける。
「…………」
そして身体を屈めると、手を合わせ、目を閉じる。
おこがましいかもしれないけど、他のファンの人たちのためにも、沖田総司の冥福を、代わりにたくさん祈っておこうと思った。
……どれだけ手を合わせていたかは分からない。
長かったかもしれないし、短かったかもしれない。
とにかく、これで一通り終えたと思った私は、目を開けて、屈めていた身体を元に戻した。
……その時。
「ニャー」
「えっ!?」
そんな高い音と共に、足元に黒い塊が見え、私は驚いて少し飛びのく。
「なに……」
距離を置いて見下ろせば、そこにはとても小さな猫。
「な、なんだ。猫か……」
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