【side:アリス】 - 歯車がまわる -

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  「はぁ……今回も断られちゃった」 そう呟いた少年、アリスは買物袋を下げとぼとぼ歩く。 「(これで何回目だろう…… 早く仕事を決めておばあちゃんを喜ばせたいのに……)」 体力、知識もそれなり、礼儀となれば言わずもがな問題ない。 では、何故断られるのか? 答えは一つ、身体が小柄すぎるから。 否、小柄で可愛すぎるから。 この少年、17歳であるのに145cmとかなり小さい。 それに加え、男の子と思えない程可愛いのである。 そんな容姿をして、土木作業員や警備員を希望し面接に行ったら、結果など一択である。 面接官達は丁重に断り、帰らせる。 お茶を勧め、声色を優しくし、顔のにやけを抑えながら。 中には最後まで男の子だと信じきれなかった面接官まで居た。 そんな事も露知らず、 「(今度は引越し作業員の面接でも受けようかなー……)」 とか思ってる私の子は間違いなく罪作りな子である。 【まぁ、そんな自覚が無い所がまた可愛いんだけどね!←】 不意に、一人の男に呼び止められた。
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