銭湯

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此処で細かく書いても仕方ないので、一番注意をしなければ為らない事が、一点だけある。それは、そのスジの人には近寄ってはイケないと言う事である。 昔は今の様に『入れ墨の方お断り』とは、書かれて無かったので そのスジの方も入浴にお見えになる。 3才児の私はそんな事とは露とも知らず、背中に花の図柄が彫られているオジさんの所へ行『背中のお花綺麗だね』と言った事がある。父親が慌ててそのオジさんに頭を下げて居たのを覚えている。 よく風呂上がりには、ピンの牛乳と言うイメージがあるが、それは、独身の人達だけが飲んでいた。多少財布に余裕がある人はコーラやチェリオ等の瓶のジュースを飲んでいたように思う。 家族が7人も居る家庭は、そう言う訳にはいかず、いつも風呂屋の前にある紙コップで舌に色の着くオレンジジュースを飲んでいた。 自動販売機なのだが、紙コップは販売機の横に付いて居る物を注ぎ口に置きお金を投入するだけである。 それを妹と分け合い飲んで帰っていた。 ある日、風呂屋に行くと販売機が代わっていた。 紙コップが販売機の横に付いていないのである。3才児の私は当然字が読めない。
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