氷柱

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私が3歳頃の夏は、エアコンなんて言う物はなかった。 道路も舗装されておらず、関東ローム層剥き出しで赤土だらけの道路には、車の数も少ない為、今のようなヒートアイランド現象なんて物も無かった頃、夕立が降れば夜には十分涼が取れたのだ。 話はそれるが、夕立が降り出したばかりの土埃の匂いが私は好きである。 よく雷が遠くで聞こえ空が暗くなり、今にも泣き出しそうな空になると、表に出ては夕立を待ったりしていた。しかし雷が余りにも近くで鳴り出した時は、蒲団を被り早く通り過ぎぬかと泣いていたものだ   話を元に戻す、ヒートアイランド現象は無いにしても夏はそこそこ暑いものである。 私の家には扇風機が、一台しかなかった。当時のうちの家族は父母に私、妹、母方の祖父母に父方の叔母と7人家族であった。 当時は朝食、夕食時は家族全員でとるのが当たり前であり、人いきれで室内の温度は上昇する。当然、扇風機一台では涼等は、取りようも無い。風がある日は、まだましで凪いだ日は、皆苛々して食事をとっていた。
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