~過去~

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「東雲ゆくぞ」 ヒヒーン 了解と言わんばかりに高らかに鳴いた。 東雲に乗りこむ。 「ハッ!」 向かい風を物ともせず切り、走り出した。 千鶴の許しを得て、巴を迎えに行っている。 聞き耳を立てて聞いた。 あの話しを頭に巡らせながら…… ーーーー駒王丸様だ それを聞いて、駒王丸自身頬が火照る程、気持ちが高揚した。 それは今も同じ…… だから、東雲には悪いが少し速度を早めに走らせた。 ある程度、冷めれば、巴が何処に居るかを考え出した。 (それにしても、巴は何処にいるのだろう……やはり、あそこだろうが) 暫くして思い当たる節を思いついたのか、其処に向かって東雲を急がせた。 其処は幼い頃……巴と共に遊んだ大きな桜の木のところである。 案の定、桜の木の根本の近くで栗梅が草を食べていた。 「よし、ついたぞ。栗梅はあそこにいるが……巴は何処だ?」 東雲のスピードを緩め、ゆっくりと桜の木に向かった。 根元に着くと辺りを見回し、ふと上を見上げて見ると。 (いたっ!木の上に寝ておるこのまま呼んだら、びっくりして木から落ちるな……よし) 駒王丸は、栗梅の近くで東雲から降りて、桜の木を登り巴の近くに向かった。
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