48人が本棚に入れています
本棚に追加
「東雲ゆくぞ」
ヒヒーン
了解と言わんばかりに高らかに鳴いた。
東雲に乗りこむ。
「ハッ!」
向かい風を物ともせず切り、走り出した。
千鶴の許しを得て、巴を迎えに行っている。
聞き耳を立てて聞いた。
あの話しを頭に巡らせながら……
ーーーー駒王丸様だ
それを聞いて、駒王丸自身頬が火照る程、気持ちが高揚した。
それは今も同じ……
だから、東雲には悪いが少し速度を早めに走らせた。
ある程度、冷めれば、巴が何処に居るかを考え出した。
(それにしても、巴は何処にいるのだろう……やはり、あそこだろうが)
暫くして思い当たる節を思いついたのか、其処に向かって東雲を急がせた。
其処は幼い頃……巴と共に遊んだ大きな桜の木のところである。
案の定、桜の木の根本の近くで栗梅が草を食べていた。
「よし、ついたぞ。栗梅はあそこにいるが……巴は何処だ?」
東雲のスピードを緩め、ゆっくりと桜の木に向かった。
根元に着くと辺りを見回し、ふと上を見上げて見ると。
(いたっ!木の上に寝ておるこのまま呼んだら、びっくりして木から落ちるな……よし)
駒王丸は、栗梅の近くで東雲から降りて、桜の木を登り巴の近くに向かった。
最初のコメントを投稿しよう!