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二人は木から降ると栗梅たちのもとへとに向かった。
二頭は仲良さそうにじゃれ合っていた。
そして、栗梅は主人が来たのが分かったのか、巴に向かって顔を擦りつけた。
「あの……駒王丸さま話とは、なんですか?」
栗梅を優しく撫でながら尋ねた。
「お前の見合いの話だ」
「父上から聞いたのですか……」
思わず栗梅を撫でる手を止めた。
まるで心に刺が刺さったような痛みが走った。
「ああ、お前の見合い相手も聞いた」
(父上はなぜ駒王丸さまに話したのだろう…。私はこの方をお慕いしているのに…。)
思わず片手で、ズキズキ痛む胸をギュッと押さえた。
それに駒王丸は気づくことはなく、言葉を続けた。
「次郎達と聞き耳を立てて聞いていた。四朗が大声を出したせいでばれ、先程まで説教を受けていてな。兼遠は相変わらず手厳しい。それで、その……相手の事だが……」
「聞きとうありません!!」
金切り声ように叫び、駒王丸の言葉を塞ぐ、あまりの突然の事、久しぶりの巴の悲鳴に駒王丸は狼狽えていた。
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