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青く晴れ渡った蒼空の元で三人の子供達が剣術の稽古をしていた。
一番年長である姉と一番年下である弟が竹刀を構えている。
黙って互いを睨み牽制し合う……。
先に動いたのは……
「えいやぁー!!」
「あまい!!」
バチーーーーン!!
姉が弟が打ち込んできた木刀を上にはじき上げ、弟の顔に突きつけた。
弟はそのまま尻餅を付き、痛さの余りに顔を歪める。
「其処まで!!」
審判を行っていた、もう一人の弟が高らかに終了の合図を上げた。
「まいりました。流石、姉上お強いですね」
手を押さえ、憧れを交えた笑みを浮かべて姉を見上げる。
しかし、姉のほうは怒った顔で木刀を突きつけて構えたままだった。
それはまるで、鬼のような形相だ。
「こんなので負けてどうする、戦場で死ぬぞ」
「まぁまぁ、姉上……四朗も頑張りましたから、誉めてやりましょうよ」
と弟……四朗を審判を行っていたもう一人の弟……次郎が彼を庇い、姉を宥めようとした。
それが気にくわなかったのか、宥めている弟に向かって木刀を鋭く突きつけた。
「お前は、四朗に甘いすぎるぞ。次郎、次はお前を稽古つけてやろうか」
そう言うと木刀の構えをとり、ヤァーと声を上げ、打ち込む。
「うわぁー!?姉上木刀を構えていないのに、打ってこないでください!」
鋭い打ち込みを危なげに避け、手に持っていた木刀を構えようと慌てていると……
「お前ら楽しそうにやっているな」
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