~過去~

3/9
前へ
/127ページ
次へ
凛々しい姿の少年が面白そうに笑いながらに眺めていた。 それに気づくと、慌てて三人は膝を着いてなおった。 「気づかず、申し訳ありません駒王丸さま」 「いやいや、そんなに改まらないでくれ」 姉が言った言葉に苦笑しながら返した。 「そうそう、巴」 「はい、なんでしょうか?」 「だから、敬語は使わないでくれ兼遠が呼んでいたぞ」 「父上が?わかりました。すぐまいります」 頭を軽く下げ立ち上がると、早足で歩いて去っていった。 「ねぇ兄上、なぜ父上は姉上を呼ばれたのですか?」 それを聞くと、次郎は腕を組みう――んと唸った。 「姉上も年だからなあの話かもしれないな」 「あの話ってなに?」 首を傾げて、また兄に尋ねた。 「子供のお前には、まだはやい話だ」 「あの話か……」 駒王丸は肩を落とし、ため息を付いた。 「兄上……何故、駒王丸さまは落ち込んでいらっしゃるのですか?」 「子供には、言っても仕方の無い事だ」 そう言いうと、小さく笑いながら四朗の頭を軽く小突く。 兄に子供扱いされた四朗は頬を膨らませ、ブスくれた。
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加