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(父上は、何上……私を呼んだだろう)
歩いて進んでいく度、その疑問は積もり積もった。
そうしているうちに目的の所に到着した。
「巴よく来たな」
部屋の中に穏健な中年男性と稟とした綺麗な女性が座っている。
「父上、母上ただいま参りました」
彼らの前に正座をして、座り頭を下げた
「うむ、お前に見合いの話がある」
「はぁ?」
訝しげな声を出し、しばらく沈黙が続く。
「だからお前にみ……」
「お断りします」
「なにを言っている!」
「私はそのような事には興味ありません。これにて失礼します」
きっぱりと答えると、狼狽える父に向かって頭を下げ、立ち上がりと部屋から出ていこうとする。
「おい、待てどこに行く」
「栗梅の所です。一緒に外に行ってきます」
「話が終わっておらん。おーい!!ああ……行ってしまった。どうして、あんなオナゴになったのだろう」
慌てて止めたが、無視されたため頭を抱えて、兼遠はため息をついた。
「おまえさんが男の子がなかなか産まれないから、駒王丸様の役に立つように武術をしこんだからでしょう」
呆れたように答え窘めた。
「だから、華道や茶道にまったく興味をしめさなくなったのですよ」
言っている言葉が兼遠に矢のように突き刺さり、思わず兼遠は顔をひきつらせ始めた。
「うっうるさい。私だってわかっておるぞ千鶴」
「で、お相手はどなたですか?」
そんな兼遠の様子を気にせず淡々っと話を続ける。
そんな女房の態度に思わずため息がこぼれ落ちた。
「ハァ……駒王丸さまだ」
「え――――――!?」
突然大きな驚いた幼い声が聞こえてきた。
「だっ誰じゃ!!」
機嫌が悪い兼遠は思わず怒鳴り声をあげる。
千鶴はそれをアラっという顔をして見ると、小さく笑っていた。
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