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《本編の1年前、瑠奈視点》
『さすがだな西園寺』
『やっぱり凄いよね~』
『できて当たり前じゃない?』
『だよね~!私たちと違う生物だもん』
頭の中で言葉が反響する。
やめて……
特別視しないで……
みんなが私を特別視する。
でも私も人間なんだよ?
毎日勉強したり努力してるんだよ?
……だれか褒めて欲しいよ。
・
・
・
『西園寺。生徒会長に立候補しといたぞ』
先生に呼び出された職員室でこう言われた。
また押しつけられた。
なんで私が……とは言えなかった。
やっぱりやらなきゃならないのかな……
・
・
・
私はひとり校門を通った。
寂しい。友達欲しいな……
でも私には友達作る才能がない。
近づくと離れて行くし、
近づいてくる人は私を見ていない。
私はどこかで無理だと諦めていた。
「なぁ真琴ー!なんで俺ってなんで欠点だらけなんだよ~?」
どこからか声が聞こえた。
『知らないよ……』と心の中で呟いた。
「お前少しはなんか努力してる?」
今度は気だるそうな声。
「やりようがないじゃん?」
気だるそうな声の主は一息ついて
もう一人の方に説教をした。
「バーカ、人間が努力するのは自分の欠点、才能がないものなどを克服するためなんだよ。人間その気でやればある程度位まではできるようになるもんなんだよ。『できない』『できるわけない』は苦手な事を克服しようと努力しない奴の言い訳なんだよ」
……努力しない奴の言い訳……
彼の言葉が胸に刺さった。
私は気だるそうな声の主の方を見た。
柔らかい黒髪。
目は隠れてないけど長め前髪。
後ろ髪は短め。
髪は跳ねないで真っ直ぐ。
目が……目の中で何か動いてる……
顔は中の上か、よくて上の下。
スゴいかっこいい訳じゃない。
でもなんだろ?
私はずっと彼から目を離せずにいた。
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