権力

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オレだって男だ。 もちろん大好きな人にこんな仕打ちをされて身内とはいえ黙っていれる程おとなしい性格ではない。 だけど… オレはまたも親父と兄貴の会話に大人の世界の恐ろしさを感じさせられたのだった。 『この記事の女が例のアレか?』 老眼鏡を新聞にかざしながら親父が兄貴に質問している。 『そうです。』 兄貴はこの時少し青ざめて見えた。 『研二!何て顔してやがる!』 オレと同じ事を感じたのか親父は兄貴の顔を見ると凄まじい迫力で兄貴に怒鳴った。 『…すいません。』 やはり兄貴にとってさやかさんの事は予想以上だった様だ。 兄貴がダメージをくらうのに内心救われた気分になったオレ。 ただそれはすぐに幻と消えた。
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